2018年4月12日木曜日

クロゲンゴロウのことを語らせろ(語ればいいじゃん)

皆さんはクロゲンゴロウ(以下クロゲン)はご存知でしょうか。まあ少なくとも業界の同志なら知らない人はいないでしょう。そんなクロゲンのことを熱く語る回。

クロゲンゴロウ(Cybister brevis
もっとまともな写真なかったのかよ
  • 体長20~25mm
  • 本州、四国、九州に分布
  • 環境省レッドデータでは準絶滅危惧種(NT)に指定。

いやーかっこいいっすね。
え?ゴキブリじゃん?と思ったそこのあなた。のんのんのーん。
ていうかさ、ゴキブリみんな馬鹿にしすぎだよね。
かっこいいのとかかわいいのとかきれいなのもいるんだよ。

見てくださいよこの色!クロゲンだけど真っ黒じゃないの!ちょっと緑がかってるし見え方によっちゃあ茶色もはいってくるんですよ。神です。神カラーリング。そんでお顔かわいい。そんなわけもあってゲンゴラーの間でも人気が高い本種。

クロゲン幼虫
幼虫の話。
 ちなみに幼虫は異形のゆるキャラ。
顔の脱力感が凄すぎです。写真は矢印の順に初齢幼虫、二齢幼虫、終齢幼虫で、右下は脱皮直後の写真です。透明感。この顔で大顎から消化液を出して相手を溶かして体液を吸うというおぞましすぎる所業をします。終齢になるとサイズが約50mmになり、成虫よりデカくなります。
そしてこれは飼っているとわかるんですけど、餌の体液を吸ったら見違えるようにデカくなります。日に日に成長を感じるとかそういうレベルじゃないです。餌をあげたら朝と夜でそれはそれはサイズがかわります。恐怖。説明しづらいんですけど、それぐらいかわるんです。(みんなも飼えばわかります。)そんなわけで誰か巨大化したゲンゴロウ幼虫が人間の体液をちゅーちゅー吸うB級パニックホラー映画製作してください。
クロゲンの羽化まで

蛹から羽化の話
ゲンゴロウの仲間は陸上で蛹化します。この写真は我が家で羽化した個体の写真ですが、
矢印の順に前蛹(蛹になる一歩前の段階)、蛹、羽化、新成虫ご登場です。基本的には蛹の期間は一か月ほどになります。新成虫の色が凄いですね。冒頭にも言った通り茶色も入っています。わかりづれえ
生息地の様子
なんて心が洗われる素掘りの水路なんだ!

クロゲンの生き方。
クロゲンは里山の生き物です。成虫は卵を水草に産み付けます。5~9月ごろに幼虫が見られ、新成虫は8~9月ごろに出現し、そのまま成虫で越冬します。種類にもよりますが、クロゲンは田んぼにかなり依存するような形で一生を過ごします。なのでひと昔前なんて田んぼに行きゃ普通にクロゲンやゲンゴロウ(ナミゲン)が見られていたとか。では現在はどうか。そう簡単に見られる種類ではなくなりました。ゲンゴロウ類の大型種のなかでは最も数が多いようですが、少なくとも首都圏で発見するのはかなり厳しいです。(私見ですが。)原因はたくさんありますが、農薬の使用、外来生物(アメリカザリガニやウシガエル等)、水路のコンクリート化(水路はコンクリート化することで流れが速くなり、水草も生えづらくなり、蛹になるための土もありません。だから素掘りの水路って大事なんです。)などです。勿論、田んぼはお米を育て、収穫するところ。農家の方々の生活もかかっています。それだから田んぼと生き物の共存は今のこの便利なご時世厳しいかもしれない。でもこんな魅力的な生き物絶滅させていいんですか?この生き物を次世代に見せられないって悲しい。「でも俺虫とかどーでもいいし」とか思う人もいるでしょう。でももしかしたら将来ゲンゴロウの足の構造とかから人類の役に立つなにかが研究されるかもしれない。可能性はいくらでもあります。保全は人間ためにやるんです。
目先の利益だけではなく、この生き物とうまくやっていく方法を探しましょうよ。頑張りましょうよ。
なんかクロゲンの話というか終盤保全の話になっていますが今回はここまで。

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